仏・ルーアンの化学工場の火災事故!健康被害と県と国対応の違和感

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9月26日未明に、フランス北部のルーアン市にある化学工場で原因不明の火事が起こり、爆破物が市内に散乱、火災による黒煙が市内に充満するという事態になりました。

この状況を受け、厚生省、環境省、内務省、農林省の4人の大臣がからルーアン入りするという異例の状態となったのでした。

また時を同じくして、シラク元大統領が死亡され、フランスの大手報道機関がシラクさんの葬儀の報道を優先したことで、ルーアン市民が黒煙の扱いに対する十分な対応策を知らされなかったということも、この事故の心理的な被害の状況を複雑にしたと言えます。

ルーアンの住民にしてみれば、市民としての人権がないがしろにされたとして、不安と不満を持った日々を過ごしています。

この火災事故では、工場、県、政府の対応が不適切な部分が多々あり、危機管理の面で住民と不安が最高潮に達した大掛かりな出来事といえます。

化学工場の立地と住居を取り巻く位置や、立地の条件も含め、政府と知事の対応食い違いや、についてまとめました。

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ルーアンの化学工場火災の経緯と背景

火災があったのは、フランスの北部にあるルーアンという市の、Lubrizol(リュブリゾル)という化学工場です。

リュブリゾルは塗料の添加物製造工場で、工場より火事が起こり、黒煙が市内を覆っていったのです。

火事による黒煙の様子がメディアで報道されるとともに、火事より2日の間に4人の大臣がルーアンを訪れるという異例の事態となりました。

その背景として、

  • 工場がルーアン市内にあり、火事による黒煙の人体への影響が懸念されている
  • シラク元大統領の死亡と葬儀のニュースがメインになり火事事故の情報が少なかった
  • 4月にあったパリのノートルダム大聖堂の火災で、地面に飛び散った鉛の人体への影響が、数か月後にのみ報道されたことで、ルーアンの住民が不安になった

などいくつかの要因がありました。

最初にノルマンディーの県知事が記者会見で、「空気に汚染による人体に及ぼす悪影響はない」と言っていたのが、視察に来た厚生省大臣(アニエス・ビュザン)は、「大気汚染があるのは明白だ」と答えていました。

黒煙は家のガラスにも張り付いてあり、路上や農地にも落ちてあり、両者のコメントには相違があり、住民の不安は重複することになりました。

ルーアンの火災爆破事故の経緯

工場の火災は、9月26日木曜日の明け方からありました。

工場の近辺には火災による爆発物の散乱と、その影響で黒煙が長時間が市内に立ち込めるという事態になりました。

工場は火事があったことは県に通報し、学校は閉鎖されることになり、学童は煙から一時的には避けることができました。

しかし、工場は市内にあり、一般住居までは何十メートルという近さです。

煙が火事現場から立ち込め、工場付近の区域だけではなく、市内全域に流れ続け、通勤をする一般市民が煙を吸い、吐き気や嘔吐に悩ませることになりました。

火災の消火には約200人もの消防士が作業を行ったのですが、煙の立ち込めるなか、作業は消防士にとっても悪影響があったのです。

住民はもとより、作業に当たった消防士には、吐き気や嘔吐があり病欠に入った人もいます。

工場の立地と居住地までの距離

工場が住居に隣接していなけば、この火災はこれほどニュースにもならなかったであろうといわれています。

実際にこのリュブリゾルの建設があったのは、1950年代です。当時は工場の周りには住居もなかったのが、周りに一般住居が立ち並ぶことになりました。

工場と一般居住先の距離の規制がなかったのです。

その後2003年に法律で規制ができたのですが、それ以前に建設になった工場はそのままの状態で稼働しています。

工場の火災は初めてか?

このリュブリゾルはグループ会社で、他のも工場がありその一つで、2013年にガス漏れ事故を起こしています。

ガス漏れはメルカプタンガスで、パリとロンドンまでも臭いが流れたというくらいでした。

ガス漏れのあった2013年から、ガス漏れを起こした工場への指導も行われ、政府としてはその制御や安全管理を行ってはきていましたが、財政難ということもあり、指導が徹底されていなかったことはゆがめません。

フランスの製造工場には、工場稼働のリスクに対しての評価基準があり、「SEVESO」と言って、安全性が高い工場か、低いかに評価別されています。

フランスでは、約1300の工場があり、その約半分の700はこのリスクが高いとなっており、この工場もリスクが高いと言われながら、2013年から特に改善がなかったのか、今回の火災が起こったのです。

ただ、今の段階では火災は工場内から発生したとは、断定されていません。

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火災の影響と対処の不適切さ

火災事故後の最初の2日に視察に行ったの大臣は、厚生相、環境問題、内務省、農林省の4人です。翌週の9月30日に首相もルーアンを訪問しました。

これほどの閣僚が一つの事故で事故現場を視察するのは異例です。

この背景には、4月にあったノートルダム大聖堂の火災事故の後処理の影響があり、市民の懐疑心をあおってしまい、透明性に欠けているという政府への批判をなんとか無くしたいという姿勢です。

大聖堂の再建計画は火災直後からあり、寄付金を求める声も上り、再建ムード一色になっていたのは、記憶に新しいところです。

ことろが、ノートルダム大聖堂の屋根から焼け落ちた塔の鉛が燃焼とともに近隣に飛び散り、鉛の人体の健康被害があると、問題視されたのが7月になってからです。

つまり、4月から7月までの3か月間に、健康被害がある意味隠されていたのではないかという懐疑心ができていたところです。

であれば、今回のルーアンの工場の黒煙による健康被害があっても可笑しくないと市民は不安になったのです。

空中にいる鳥も黒煙の所為か落ちて死んでいるのなら、人間にももちろん有害だと思うのがあたりまえです。

人間だけはなく、近隣の農地にも黒煙は飛び火し、牧草にいる家畜にも影響があります。

農家では、農産物の出荷をできるこか、有害物質があると認定されれば、出荷はあきらめないといけません。

当初の県知事と政府が言っていることに違いがあったこともあり、心理的に、懐疑心は大きくなり、またシラク元大統領の葬儀のニュースは全国報道され、ルーアン市民は水道水を飲んでもいいのかもはっきりわからずに何日も過ごすことになったのです。

実際に健康被害の影響については以下のように言われています。

健康被害と農家への補償

火災事故から約1週間たち、黒煙の人的被害影響については、政府からは明確にされていません。

農林大臣からは、農家への補償がされると回答はありましたが、補償については全額とは言っていましたが、どのくらいの期間の出荷停止にするのかが明確でないことが問題です。

住民の健康被害

黒煙が住居や牧草にへばりついても汚いだけなら問題はないのですが、黒煙の中の構成要素には、

  • 炭化水素
  • プラスチック
  • アスベスト
  • 金属

などがあると言われています。

なにせ、工場の敷地にストックされていた、生産用の原料全てが燃焼となり、全部大気に散りばめられたのです。

炭化水素とアスベストは有害と言われています。それらの素材が高温で燃焼されれば、どうなのか調査が必要です。

有害物質が組み合わさり、複数の要素として、どのように有害なのかの判断には時間がかかると言われています。

健康被害の有無と影響については、ノルマンディー県でも、政府からも現在調査機関からの調査結果は出されていませんが、一般的に言われているのは、発がん性や、ホルモンの内分泌を変える危険性があると言われていることです。

また、ルーアンの住民は、政府や県からの調査結果を信用しておらず、住民がカンパをつのり、独自に調査機関に調査を依頼したとも言われています。

農家への補償金

牧草地に落ちた黒煙の影響で政府は、

  • 生乳
  • はちみつ

の回収はしないとを農家へと回答をしました。

このことにより、農家の収入は減りますので、その分の補償は農家へされます。

とはいえ、政府がいつの段階で、健康被害の結論となるレポートを出すのかも不透明ですし、住民が政府を信用できないのは大きな問題です。

工場の再稼働

現在工場は、火災の後始末もあり稼働は予定されていませんが、アメリカの筆頭株主からは、稼働を急ぐようにという要請がでているということです。

現在工場は生産停止、工場内で火事を起こしたとならずとも、ストック原料で大気汚染をさせた責任が追及されることとなるでしょう。

工場の従業員数は約200人で、再開稼働がなければ、失業となります。

個人の生活面としては、稼働再開が一番ですが、工場はほぼ隣接する一般住居からは50メートルのところにあります。

今後稼働する場合には、今の敷地に再建されるのか、より過疎地帯に再建となるのか、リスク管理は更に厳しくなります。

リスクマネジメントが徹底した評価の工場になり、再稼働となるのは望ましくとも、コストがかかります。

まとめ

フランスの北部の都市ルーアンの化学工場で起こった火災事故の様子をまとめました。

都市化が進み、工場と一般居住地が隣接することになった工場を取り巻く状況もあり、今回の火災事故は思いの他住民への健康被害が危惧される状況となりました。

同工場は政府が危機管理を進めていたにもかかわらず、2013年から危機管理の改善が見られなかったとも言われています。

居住している住民からすれば、火災が起こり、煙が立ち込めた間、県や国からの適時な回避誘導もなく、煙や飲料水の影響についても、独自の判断で行動することになりました。

また将来の健康被害がどれほどになるのかも、依然分からずに生活を余儀なくされています。

政府の明確な回答を待ちたいです。

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